高野切第三種 伝 紀貫之筆 平安時代 950こうやぎれだいさんしゅ でん きのつらゆきひつ
みよしのゝやまのかなたにいへもがなよ
のうきときのかくれがにせむ
変体仮名
みよしのゝやま能可那た尓いへ毛可那よ
能うきと支のかくれ可尓せむ
半紙の半分に、2行で書きました。書くのにおおよそ15分くらいかかりました。
お手本は、二玄社の日本名筆選5 高野切第三種 です。お手本とほぼ同じ縮尺で書いています。
まだまだ細く長い連綿線は苦手です(-_-;) かと言っても、長い横線も苦手です。なんしか長い線は苦手です。その線に入る前は少しの気合を入れて、プルプル震える感じを必死でおさえて書いています。
今回は、最近仮名の練習不足のせいもあったので、長い時間をとっていつもより多く同じ歌を書いてみました。(といっても5回くらいですが・・・)書けば書くほど書き慣れて、1回目は震えていた線が2回目は震えず書くことが出来たり、臨書の面でも、先ほどは気づかなかったところにも新しい発見がありますね。
左利きの私は、右利きの人よりも1枚を書くのに倍の時間がかかっていると思いますが、右利きの人に追いつくための練習量は、何倍も書かないといけないかなと思っています。
私は臨書を集中して書く時間が、その時だけ仕事や育児を忘れ(笑)、ある意味ストレス発散になっています。普段お忙しい人こそ、筆やペンで何か「手書き」する時間がおすすめします(^^)
現代語訳
吉野の山の奥に宿がほしいものだ。世の中がつらい時の隠れ家にしよう。
み吉野 ⇒ 「み」は美称の接続語。隠遁の地としての吉野
あなた ⇒ 向こう。奥。
●吉野は隠遁の地であり、その奥を求めるのは深い厭世観の表れとも見えるが、むしろやや気楽な気持ちで吉野の奥を願っているもので、それは、「世の憂き時」という表現にもうかがわれる。
(角川ソフィア文庫 高田祐彦 訳注 新版 古今和歌集 平成21年 p.419)